大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和42年(ワ)179号 判決 1967年5月16日

原告

京都市

右代表者公営企業管理者水道局長

小倉成

右訴訟代理人

納富義光

被告

京都漕艇協会

右代表者

佐々木義雄

被告

株式会社日新建設

右代表者

川又清忠

主文

一、被告京都漕艇協会は、原告に対し、別紙目録第三記載の土地(本件土地)を、同第二記載の建物(本件建物)を収去して、明渡せ。

二、被告株式会社日新建設は、原告に対し、本件土地を、本件建物から退去して、明渡せ。

三、訴訟費用は被告等の負担とする。

四、本判決は仮りに執行できる。

事実および理由

原告訴訟代理人は、主文同旨の判決を、求め、請求の原因として、

「(一) 原告は、本件土地を含む別紙目録第一記載の土地を所有し、これを原告の経営する水道事業の用に供している。

(二) 被告協会は、本件土地上に本件建物を所有し、本件土地を占有している。

(三) 原告は、被告協会に対し、本件土地を賃貸していたが、昭和三一年三月三一日、右賃貸借契約を同被告と合意解約した。

(四) 被告会社は、本件建物を建設用資材置場に使用して、本件土地を占有している。

(五) よつて、原告は、土地所有権にもとづき、被告協会に対しては、本件建物を収去して本件土地を明渡すことを求め、被告会社に対しては、本件建物から退去して本件土地を明渡すことを求める。」

と述べた。

(中略)

地方公営企業法第七条所定の管理者(地方公営企業管理者)は、地方公営企業を経営する地方公共団体に、地方公営企業の業務を執行させるため置かれるものであり、地方公共団体の長(地方公共団体を統轄し、これを代表する執行機関)が任命する(同法第七条の二第一項)。しかし、同法第七条の二ないし第十六条(第八条第一項本文は、「管理者は、左に掲げる事項を除く外、地方公営企業の業務を執行し、当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表する。」と規定する。)によれば、地方公営企業管理者は、地方公営企業の業務の執行に関し、地方公共団体を代表する、独立性のある、法定の執行機関である、と認めうるから、地方公営企業管理者は、その権限が地方公営企業の業務の執行に限定されるが、民事訴訟法第五八条所定の「法人ノ代表者」に該当する、と解するのが相当である。

したがつて、本件のような、地方公営企業管理者の管理する土地(当該企業用に供する土地)に関する土地明渡請求訴訟(原告地方公共団体)について、地方公営企業管理者は、地方公共団体の代表者として、訴訟追行権限を有する。

よつて、原告の本訴請求を正当として認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、同法九三条一項本文、仮執行の宣言について同法第一九六条を適用し、主文のとおり判決する。(小西勝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例